【みなし相続財産】申告漏れに注意!亡くなっていた方が支払っていた生命保険金も申告を
相続税の申告では、生命保険金についても課税対象になっています。
申告書でいうと、第9表(生命保険金などの明細書)。
亡くなった方に掛けられていた生命保険金が支払われたら、第9表にその明細を記載します。
ただ、申告が必要な生命保険金は、それだけではありません。
生命保険金について、相続税の申告の際に見落としがちなことがあります。
それは、「被相続人が保険料を負担していた保険の、保険金」です。
シロウトには理解が困難なほど、保険金に関しては扱いがややこしいのですが
わからなかったからといって申告を忘れてしまうと
後々、税務調査で指摘され、ペナルティーを課されるおそれもあります。
この記事では、「みなし相続財産」のなかでも申告漏れしてしまいがちな
生命保険金についてまとめます。
- 被相続人の生命保険ではないのに「相続財産」扱いになるケース
- ポイントは「保険料を負担していたのは誰か」
- 生命保険契約に関する権利を相続した場合の、評価額の出し方
- 保険契約があるかどうか、必要なら照会を
被相続人の生命保険ではないのに「相続財産」扱いになるケース
相続税の申告の際、生命保険について申告漏れがないか確認をする必要があります。
何を確認するかといえば、被相続人が保険料を支払っていた保険の有無。
たとえ亡くなった方を対象とした保険ではなく、配偶者や子を対象とした保険であっても
その保険料を負担していたのが被相続人であったならば、相続税の課税対象として申告をしなければならないのです。
たとえば、以下のような場合。
被保険者 : 配偶者(相続人)
保険金受取人 : 子(相続人)
保険料負担者 : 被相続人
この場合、死亡に伴う保険金の支払いが発生するのは、被保険者である「配偶者」が残念ながら亡くなってしまったとき。
保険金負担者である被相続人が亡くなったとしても、死亡保険金の支払いは発生しません。
しかし、このケースでは相続財産として申告をする必要があるとのこと。
それはいったいどういうことなのでしょうか。
ポイントは「保険料を負担していたのは誰か」
相続財産かどうか、判断する上でポイントになるのは
「保険料を負担していたのは誰か」
保険の契約では
・誰に起こったことによって (被保険者)
・誰に保険金が支払われるか (保険金受取人)
に加え
・誰が保険料を支払うか (契約者 / 保険料負担者)
という3者についてみていく必要があります。
相続税の申告書 第9表に記載されるのは、
被保険者 : 被相続人(亡くなった方本人)
保険金受取人 : 相続人(亡くなった方の家族etc)
保険料負担者 : 被相続人
というケース。
つまり、亡くなった方が自身について掛けた生命保険で、保険料も自ら仕払いをしていた。
そして、保険料負担者であり被保険者でもある、契約者本人の死亡にともない、死亡保険金の支払いが行われた。
その内容について、明細を第9表に記載していきます。
しかし、先程の例
被保険者 : 配偶者(相続人)
保険金受取人 : 子(相続人)
保険料負担者 : 被相続人
この場合はどうなるのでしょうか?
この場合、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
「生命保険契約に関する権利」を相続したものとして扱われるからです。
相続税申告書の第11表に、その保険の評価額を記入し、申告をします。
【誤りやすい事例⑨ - 申告書第11表関係 - 】保険事故が発生していない生命保険契約(本来の相続財産:契約者が被相続人)
この保険の被保険者は、被相続人の配偶者です。
しかし、この保険契約に関する権利をもっているのは、被保険者である被相続人の配偶者ではありません。
この保険の、保険料を負担していた、被相続人です。
このあたりは名義預金と考え方が似ているのかもしれません。
つまり、その財産(保険契約なり、預金残高なり)の原資は誰のものか、ということ。
(以下、余談ですが…)
なので、被相続人に対してかけられ、亡くなった際に死亡保険金が支払われた生命保険であっても
被保険者 : 被相続人
保険金受取人 : 子(相続人)
保険料負担者 : 配偶者(相続人)
というケースでは、相続税の課税対象とはならないのだそうです。
この場合には、贈与税の対象となります。
ところが、下のようなケース
被保険者 : 被相続人
保険金受取人 : 配偶者(相続人)
保険料負担者 : 配偶者(相続人)
つまり、保険料の負担者と保険金の受取人が配偶者
被保険者が被相続人
この場合には、被相続人の死亡に伴って支払われた死亡保険金は、所得税の対象になるのだそうです。
…所得税の対象って。。。
生命保険契約に関する権利を相続した場合の、評価額の出し方
上で触れたように、被相続人が契約者であり、保険料の負担も行っていた場合には、「生命保険契約に関する権利」を相続したものとして、第11表にその評価額を記入し、申告をします。
評価額は、被相続人死亡時における解約返戻金の相当額です。
保険会社に相続税の申告で必要だという旨を伝え、
もし被相続人が亡くなった年月日に解約したとしたら返戻金がいくらになるか
計算して出してもらうようにしましょう。
その際、必ず電話などによる口頭での回答ではなく、文書での回答をお願いするようにしましょう。
回答文書は、第11表に記入した額が正しいものであると証明する資料として、申告書と一緒に提出します。
保険契約があるかどうか、必要なら照会を
もしものときに心強い助けとなる、保険。
親御さんなどのなかには、ご自身のものだけでなく、家族のためにも保険の契約をして保険料を支払っている…という方もいらっしゃるかもしれません。
ありがたい親心。
しかし、そのような保険契約があることをご本人以外には知らない場合、
もしくは家族には言わずに契約をしていて、あとで契約のことを知らせようと思っていたような場合、
遺された家族がその存在を知らないまま、生命保険契約が放置されてしまうことにもなりかねません。
いくつか保険に入っているような被相続人の場合
家族も把握していない別の保険契約があることも考えられます。
我が家も、母が複数の保険契約をしていたこともあり
自身にだけではなく、家族に対しても保険契約をしているのでは?と
保険会社に照会をかけました。
正しい相続税の申告を行うためにも
被相続人が契約した保険には何があるか
まだ把握されていないものはないか
保険についても確認をするようにしましょう。
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