シロウトに相続税の申告書作成は可能なのか

相続税の申告書を、経理の知識・経験はもとよりエクセルのスキルもろくに持ち合わせていなかったシロウトが8か月をかけて作成し、所轄の税務署へ提出。その経験をとおして知ったことや感じたことを綴るブログ。

シロウトに相続税の申告書作成は可能なのか

【 申告書作成 】 ④ 第11・11の2表の付表1 を作成する: 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書

 

申告書の作成手順について書いています。

この記事は、「第11・11の2表の付表1」の作成について、です。

 

 

相続税申告書の「第11・11の2表の付表1」は、「小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」。

小規模宅地等の特例を受けようとする場合に作成します

 

主な内容は、

・特例を使う前の、その土地の評価額はいくらか

・その土地は特例の適用条件に合っているか

・特例を適用した後の、土地の評価額はいくらか

など。

 

この「第11・11の2表の付表1」を作成するには、まず相続した土地(宅地等)の正確な面積や評価額を明らかにする必要があります。

 

 

この記事では、「第11・11の2表の付表1」を作成した手順について書きました。

わたしが相続税の申告書を作成するときに、小規模宅地の特例についても書類を作成しました。そのときに実際にやったこと、調べたことなどをもとに、まとめています。

 

 

 

 

 

 

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第11・11の2表の付表1は、このような書式になっている

 

第11・11の2表の付表1小規模宅地等についての課税価格の計算明細書) には、小規模宅地等についての課税価格と、その課税価格が算出される過程などを記入します。

 

小規模宅地等の特例の適用を受ける場合に、作成し提出します。

第11・11の2表の付表1は、国税庁のサイト  でも入手可能です。

 

 

指定の書式を入手したら、各欄に

・対象となりえる宅地等の所在地番や面積、価額、取得者氏名など

・減額される金額、課税価格となる額(価額)

などを記入していきます。

 

 

 なお、小規模宅地等の特例については、こちらの記事をご参照ください。

 

www.souzokuzei-jirikisinkoku.site

 

 

実際の書面は、以下のようになっています。

 

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第11・11の2表の付表1 の作成手順

 ① 「1 特例の適用にあたっての同意」欄を記入。

 

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 以下にも記載があるように、小規模宅地等の特例を受けるには、その宅地等を取得した人(たち)全員の同意があることが必要です。

 

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全員の同意があることを示すために、特例を受ける人だけでなく、その他の人も含めた全員の氏名を記入します。

 

 

 ② 「2 小規模宅地等の明細」欄を記入。

 

まずは、左側の欄。

※ 以下、見本として用いている書式は【平成27年度分以降用】のものですが、最新のものは、【平成31年1月分以降用】です。平成31年1月1日〜令和元年12月31日の間に亡くなった方について相続税の申告をする場合には、【平成31年1月以降用】を入手して作成していきます。

 

 

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➊「小規模宅地等の種類」1〜4については、国税庁の下記ページに説明があります。

 

  No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁  

 

➋取得者氏名欄には、宅地を相続し小規模宅地等の特例を受けたい人の氏名を。所在地番には、登記簿謄本に記されている地番を書き入れます。

 

➌「取得者の持分に応ずる宅地等の面積」「取得者の持分に応ずる宅地等の価額」欄には、先に「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を作成し、それを参照しながら記入していきます。

  

 

次は、右側の欄を書いていきます。

まず、「⑤ ③のうち小規模宅地等の面積」を書きます。

 

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➍には「取得者の持分に応ずる宅地等の面積」のうち、小規模宅地等の特例の適用を受けられる面積はどのくらいかを記入します。

名称に「小規模」と付くだけあって、特例を受けられる面積には上限(限度面積)が定められています。居住用の宅地だと330平方メートルです。

 

相続した宅地等の面積が、限度面積以下だったら、③「取得者の持分に応ずる宅地等の面積」欄に記入した面積をそのまま書き入れます。

上限(限度面積)を超える面積であれば、限度面積を書き入れます。

 

 

③「○ 『限度面積要件』の判定」欄を記入。

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該当する「小規模宅地等の種類」の⑩、⑪欄に、さきほど記入した⑤欄の面積を記入します。

記入した面積が、限度面積以下になっているか、確認しましょう。 

 

 

④ ふたたび「2 小規模宅地等の明細」欄を記入。

 

次は、まだ記入していない右側の欄を書いていきます。

 

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➍には「取得者の持分に応ずる宅地等の面積」のうち、小規模宅地等の特例の適用を受けられる面積はどのくらいかを記入します。

名称に「小規模」と付くだけあって、特例を受けられる面積には上限(限度面積)が定められています。居住用の宅地だと330平方メートルです。

 

相続した宅地等の面積が、限度面積以下だったら、③「取得者の持分に応ずる宅地等の面積」欄に記入した面積をそのまま書き入れます。

上限(限度面積)を超える面積であれば、限度面積を書き入れます。

 

 

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➎「④のうち小規模宅地等の価額」を算出し、記入。③と⑤の面積が同じであれば、④の価額が入ります。

 

 

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➐は、用紙下方にある「減額割合」の表を参照し、「⑥ ④のうち小規模宅地等の価額」欄に書いた価額と掛け算します。これが特例により減額される額になります。

 

 

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 ➑は、もともとの宅地等の価額から、さきほど出した特例により減額される額を引き算します。この額が後ほど第11表などで記入する、宅地等の課税金額になります。

 

 

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わたしを含め、一般の人(シロウト、とも言いますが^^;)が作成する場合、亡くなった方(被相続人)と同居の家族(相続人)が、自宅の土地・家屋を相続した、というケースが大半なのではないかと思います。

 

「第11・11の2表の付表1」の「小規模宅地等の種類」でいうと、「1」の「特定居住用宅地等」にあてはまります。

 

 

「宅地等」とあるのですが、

個人事業主や一人会社など、小規模な事業を行うのに使っていた土地

・コインパーク(駐車場)や賃貸アパートなどの賃貸物件に使っていた土地

など、居住用家屋の敷地以外にもこの小規模宅地等の特例の適用を受けられるものがあっての「等」なのですね。。。

 

相続した宅地等をひとりで相続する場合もありますが、複数人で相続する場合、それぞれの相続分(持分)も決めねばなりませんし、その持分も小規模宅地等の特例に関わってきます。

 

すこし複雑なケースの場合は特に、申請前に税理士もしくは税務署の方へ、申請内容について確認をお願いすることをおすすめします。

 

 

 

 ※ 本文中で触れた「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」については、別記事で書きます。