シロウトに相続税の申告書作成は可能なのか

相続税の申告書を、経理の知識・経験はもとよりエクセルのスキルもろくに持ち合わせていなかったシロウトが8か月をかけて作成し、所轄の税務署へ提出。その経験をとおして知ったことや感じたことを綴るブログ。

シロウトに相続税の申告書作成は可能なのか

【 手続き 】ゆうちょ銀行:通帳がない → 入出金明細の発行依頼をする

 

この記事では、ゆうちょ銀行で入出金明細の発行を依頼する方法 について書いています。

被相続人ゆうちょ銀行に口座を持っていたことはわかっているけれども、いくら探しても通帳が見つからない、ということはあるものです。(我が家がそうでした)

通帳がなくても、銀行に相続の手続きをしてもらえます。

しかし、相続税の申告が必要となると、被相続人が亡くなった時点での残高や、亡くなる前(過去3〜5年分)の入出金の履歴がわかるものが必要です。

通帳があれば、申告の際にはそのコピーを添付すればよいのですが、通帳がない場合にはどうしたらよいか。

そのような場合には、最寄りのゆうちょ銀行/郵便局に入出金明細(通常貯金預払状況調書)の発行依頼をしておきましょう。

  

通帳が見つからないときは、入出金明細の発行依頼を

 

相続税の申告が必要で、ゆうちょ銀行の貯金通帳が見つからないときは、入出金明細を発行してもらうようにしましょう。

口座の入出金の履歴は、通帳に記されます。ですから、通帳があれば、口座のお金の出し入れを把握することができます。

通帳がない場合には、そのかわりになるものが必要です。

ゆうちょ銀行の場合、「通常貯金預払状況調書」というものを発行してもらえます。

過去10年以内の入出金について、指定した期間の預け入れ、払い戻しの記録を出してもらえるので、それを相続税申告に使います。

相続税の申告をするときには、相続した財産がいくらなのか、申告書に記入します。しかし、税務署にはその額が本当に正しい額なのか、申告書に書かれた数字だけでは判断がつきません。

そこで、エビデンス(証拠書類)として、申告した額・財産の内容が正しい、間違いがない、ということを示す資料を、申告書と一緒に提出します

銀行などの残高証明書や入出金明細も、そのひとつです。

申告した内容に誤りがないことを示す添付資料は、国税庁のサイトのなかで「提出をお願いしている書類」という書き方をされています。

つまり、絶対に提出が必要、というわけではないようです。

しかし、税理士ではない、一般人である身で自力申告する側としては、
「申告内容に間違いはないです!」
「正しく申告しています!」
と示す意味でも、申告書とともに提出することを強くおすすめします

入出金明細(通常貯金預払状況調書)はどこへ依頼するか

 

入出金明細は、ゆうちょ銀行では「通常貯金預払状況調書」という名称で発行されます。

発行してもらうには、ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口で手続きをします。どのゆうちょ銀行・郵便局でも発行申請の手続きが可能です。

窓口で、被相続人の口座について入出金明細を発行してほしい旨、担当の方に伝えると申請用の用紙をもらえます。

相続があり、故人の口座の預払状況調書がほしい、と伝えれば、申請書の書き方等必要な手続きを案内してもらえます。

入出金の履歴は、亡くなる前の5年分を請求

 

入出金明細(通常貯金預払状況調書)を申請するときには、いつからいつまでの履歴が必要か、期間を指定します。

ゆうちょ銀行は、その指定に基づいてデータを照会し、調書を作成してくれます。

調査が可能なのは、過去10年以内の期間です。ただし、発行申請の手続きをする日から過去10年分なので気をつけましょう。

相続税の申告書に添付する目的で、通常貯金預払状況調書を発行してもらうのであれば、被相続人が亡くなった日から過去5年分くらいあれば十分かと思います。

ゆうちょ銀行の場合、1冊の通帳(口座)について手数料は520円。

他の銀行だとひと月ごとに手数料がかかるのに、ゆうちょ銀行は1年分でも5年分でも手数料は変わらず。本当にありがたい!

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通常貯金預払状況調書を出してもらえるのは、通常貯金だけ

 

「通常貯金預払状況調書」は、名前にもあるとおり、通常貯金について入出金の明細を調査してもらうものです。

被相続人が、通常貯金のほかに、定期貯金や定額貯金をもっていた場合。

定期貯金や定額貯金には、通常貯金のような入出金の履歴を出してもらうことはできません。

定期貯金や定額貯金について預払の履歴を出してもらいたいときは、「写しの請求」というものをします。 

定期貯金や定額貯金の履歴は、写しの請求で

 

「写しの請求」というのは、過去に被相続人が定期貯金や定額貯金について、ゆうちょ銀行の窓口に出した請求書(の、コピー)を、発行してもらう手続きです。

定期貯金や定額貯金は、現金を預け入れしたり払い戻ししたりするとき、窓口に請求書を提出します。

写しの請求をすると、調査対象として指定した期間について、過去の預払を調べたうえで、過去に被相続人が書いて出した請求書を見つけ出し、そのコピーを出してくれるのです!

伺ったところ、わざわざ局内に保管してある請求書の山の中から探し出してくださるのだそうで…ありがたいことです。

「担保」が付く定期貯金や定額貯金は要注意!

 

「担保」が付く定期貯金または定額貯金について入出金明細がほしいときには、請求時、窓口の方に必ず伝えてほしいことがあります。

わたしは、これを失念していたために、税務署への提出書類が揃わず。手元に届くまでに結局1か月近くかかってしまい、とても苦労しました。

ゆうちょ銀行の定期貯金や定額貯金にはいくつか種類があります。そのなかに「担保定期貯金」「担保定額貯金」というものがあります。

【定期貯金】   担保定期貯金
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【定額貯金】   担保定額貯金
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請求時、窓口の方に必ず伝えてほしいです。
「預け入れや払い戻しの際の、請求書の写しもお願いします!」と。

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通常貯金(ほかの銀行で言う「普通預金」)と、同じ通帳に預入や払戻の履歴が記録されるタイプの定期貯金・定額貯金の場合、通常貯金と同じ通帳→同じ記号番号になっているかもしれません。 

そうすると、請求者側から特に申し出がなかったら、調査結果として手元に届くのは、通常貯金の預払履歴だけです。

しかし、通常貯金と担保定額貯金は、同じ記号番号ながらそれぞれに預け入れられている金額があります。

したがって、通常貯金についてだけでなく、担保定額貯金についても、いつ預け入れや払い戻しがあったか調査をする(調査をしてもらう)必要があるのです。

担保定額貯金については、ほかの定期貯金や定額貯金と同じように「写しの請求」という形で調査をお願いすることになります。

担保定額貯金について(念の為、担保定期貯金についても)入出金明細がほしいときには、窓口の方に

・通常貯金(だけ)でなく、担保定期貯金(または)担保定額貯金の履歴も必要なこと
・そのために、預け入れや払い戻しの際の、請求書の写しがほしいこと

上記2点を、念を押して伝えるようにしましょう。

入出金明細が届くまでの期間、方法

 

通常貯金預払状況調書の場合、貯金事務センターというところで作成し、直接、郵便で請求書に書いた住所に送られてきます。

窓口で申請してから手元に届くまで、およそ1週間〜10日。しかし、場合によっては発行まで日数がかかることもあるそうなので、早めに手続をしておかれると安心です。

写しの請求については、かなり日数がかかると思っておいたほうがよいです。おそらく窓口の方には「1か月くらいかかる」と言われると思います。

受け取りは、窓口です。郵送でないので注意!

書類の準備が整った時点で、申請をしたゆうちょ銀行・郵便局から電話で連絡が来ますので、窓口へ受け取りに行きましょう。

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入出金明細の発行依頼、手続きに必要なもの

 

相続したゆうちょ銀行の口座について、通常貯金預払状況調書の発行や、写しの請求をするとき、主に以下の4点が必要になるかと思います。

・申請者(相続人)と口座名義人(被相続人)の関係がわかる戸籍
・申請者の実印
・申請者の印鑑証明
・口座名義人(被相続人)の貯金通帳 もしくは 現存照会の調査結果通知

ゆうちょ銀行では、相続にともなう書類の提出は、最寄りのゆうちょ銀行/郵便局窓口で行います。

可能であれば、相続の手続きをするときと合わせて入出金明細の発行請求もやってしまえると、何度も窓口に足を運ばずにすむのでおすすめです。

(参考) 昔の入出金の状況を知りたいのですが、いつまでさかのぼれますか。  

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